F1で英語を学ぼう – 2022年最終戦アブダビGPを前に

F1のダイジェストはyoutubeで見れる

白熱した(いや去年に比べたらたいしたことない?)2022年のF1もいよいよ最終戦、アブダビGPが今週末始まります。今日はこのF1で英語を勉強する方法を考えてみましょう。

F1が日本の地上波からなくなって久しいですが、F1公式からのダイジェストがyoutubeで公開されていて、とても充実しています。例えば去年2021年のアブダビGP決勝のハイライトがこちらです(権利の関係でプレビュー画面のリンクにできませんので下のボタンを押してください)

「例えば」なんて紹介の仕方をしましたが、2021年のアブダビGPは、後にも先にもこの一回だけだろうという極限の大レースでした。分かりやすい話をすると、このレースでHondaエンジンがアイルトン・セナ以来30年ぶりの年間総合優勝エンジンに返り咲きますが、それ以外にも、レッドブルのフェルスタッペンがついにメルセデスのハミルトンを破り個人総合優勝を果たし、そのハミルトンはシューマッハを超えるはずだった8回目の年間タイトル獲得を逃します。ただ、このレースが特殊なのは、この一年間の成否を決める重要なレースの勝敗が、なんと最後の一周だけで決定されたことです。

意味分かります? 最後の一周だけですよ。年間20戦以上を戦ってきてもポイントがほぼ同じで、最終戦で勝負が決まるってことはよくありますけど、最後の一周だけって映画や漫画でもありませんよね。ちなみにハミルトンは、このレースの直前の3レース程を奇跡の連続優勝していて、このレースでも最後の一周までは、余裕で勝ってました。フェルスタッペンは最後の一周だけ逆転します。その一部始終がこの8分のハイライト動画に詰まっています。どうです、見たくなったでしょ。

F1の英語は字幕なしだときつい

いや、きつくないよと言う人もいるでしょうけど、私のリスニング能力ではきついです(涙) レース開始の決まり文句に「いっつらいとあ…うえいうえいごぉー」とか聞こえるのがあるんですが、最初は何度聞いてもわけが分かりませんでした…

分からないままだと何度聞いてもリスニングはなかなか上達しませんが、幸いなことにこの動画には英語の字幕がついています。字幕ボタンを押して、設定で字幕を「英語」にすれば英語の字幕が見れます。動画によっては、AIが英語の字幕を勝手につけてくれていて、「英語(自動生成)」の選択で字幕が見れる場合もあります。

字幕を見ればさっきの「いっつらいとあ…うえいうえいごぉー」が”It’s light out and away we go.”だとはっきり分かります。これはスタート前にシグナルが灯り、それが一気に消えて、各車一斉にスタートする場面のことを言っています。

最後の1周の奇跡 – 2021年アブダビGPハイライトの重要フレーズをまとめてみる

上でも書きましたが、ハイライトはこちらで見れます。

英語の学習的には、一度字幕なしで見て、その後字幕ありで見るのがよいでしょうか。F1のことを知らないとよく分からない部分もあると思うので、以下を参考にしてみてください。

01:11 “No investigation necessary, say the stewards.”

ここでいうstewardsはレースコントロールの審判団のことで、ハミルトンがコースをショートカットしたにもかかわらず、レースディレクターは調査の必要はない、と判断したということ。このレース、こういうレースディレクターの微妙なさじ加減が各場面で大きな影響を及ぼし、後々まで物議を醸します(とはいえ、どちらかに味方した、というわけでもなさそう)

02:35 “Perez playing the ultimate team game here for Max Verstappen”

ペレスはフェルスタッペンの同僚でして、奇跡的な走りでハミルトンの邪魔をしまくります。ハミルトンとしてはペレスにぶつけられたらお仕舞いなので、厳しくアタックできない状況です。

03:27 “Oh, Checo is a legend. Absolute animal.”

ペレスがハミルトンを抑えてくれたおかげでフェルスタッペンはハミルトンに追いつきました。それに感謝してフェルスタッペンは”Checo (ペレス) is a legend.”と言っていて、それに対するチーム側の応答が”Absolute animal”です。一応ペレスのドライビングに対する褒め言葉のようです…

03:30 “Oh no! Nicholas Latifi has crashed”

これでこのレースの運命が変わります。この直後セーフティーカーが導入されることが決定した時点で、フェルスタッペンはピットでタイヤを新品に交換。ハミルトンは古いタイヤでコースにステイ。セーフティーカーが導入されたままレースが終われば、ハミルトンの優勝がこのまま決まりますが…

04:24 “Yeah, of course, Typical decision. It’s classic.”

周回遅れの車(このままだとレース再開時にフェルスタッペンの邪魔になる)に追い越しを認めないレースディレクターに対して苛つくフェルスタッペンとチーム。「よくあるやつだ」、「古典的なやり口だ」と言いたい放題。

04:30 “Why aren’t we getting these lapped cars out of the way?”

フェルスタッペン側のチーム(レッドブル)が、フェルスタッペンの前にいる周回遅れの車をどけろと、レースディレクターに猛抗議。この後、周回遅れの車を排除した上で、最後の一周だけのレースが行われることが決定します。

05:07 “Michael, this isn’t right.”

今度はハミルトン側のチーム(メルセデス)がマイケル・マシ(レースディレクターの名前)に抗議。それでもレースは続行。

05:24 “We are going to have one lap of racing to decide the championship in 2021”

年間優勝を決める、たった一周のレースが始まります。先頭のハミルトンが有利か? ソフトタイヤに変えて車の動きで圧倒するフェルスタッペンが有利か?

06:03 “It’s a late lunge by Verstappen, who takes the lead of the race.”

ついにフェルスタッペンの追い越しが決まってしまいます。“late lunge”というのは遅れてコーナーのインをとってきたことを指すようです。

06:26 “This race, that started with controversy, has ended with controversy.”

「論争で始まったレースが、論争で終わる」論争(controversy)と言っているのは、レースディレクターのさじ加減でレース結果が左右されることを指します。実は2021年のF1は最初のレースからこういうcontroversyが続いていました。

06:29 “No, Michael! No, no, Michael! That was so not right!”

メルセデスチームのマイケル・マシ対する悲痛な抗議。それでもレースは続行。

07:07 “… but the championship can only be won by one and it’s going to Dutch in 2021.”

輝くバトルを続けた二人だが、優勝は一人だけ、ということでオランダ出身のフェルスタッペンの優勝が決定。

いや濃い、どこまでも濃い8分です。

実はハミルトンの初ワールドタイトル(2008年)も最後の一周で決まっていたりします。これはこれで面白いのですが、あれはドタバタが生み出した珍事であって、全力走行の勝負ではありませんでした。このアブダビでは、最後の一周だけのレースをきっちりスタートして、ゴールまで全力で戦っているのが分かるでしょう。

2022年のF1公式動画(YOUTUBE)には字幕がない

そういうわけで2021年のF1動画は、字幕がついた実によい英語教材だったのですが、残念なことに2022年のF1動画には字幕がついていません。更に困ったことは、AIがつけてくれる自動生成の英語も、おそらく内容が不正確だということでオフに設定されていて見ることができません。

代替手段としては、Chromeの自動字幕起こしを利用する方法があります。これを解説しようと思っていたのですが、もうだいぶ文章が長くなってしまったので(去年のアブダビGPの解説に熱が入りすぎました…)、次のポストで解説しましょう。

2022年アブダビGPの見どころ

このように英語の字幕があればF1の英語もなんとか理解することができます。今年のアブダビGPがまもなく始まりますが、グランプリ週末には普通、金曜からFP (Free Practice)、土曜はQualifying、日曜にRaceのハイライトがyoutubeより配信されます(スプリントレースというシステムが導入されているレースでは少し変則的になります) QualityingとRaceの後は、ドライバーのインタビューも配信されます。これはネイティブと非ネイティブが入り混じったもので、ほんとの国際英語に挑戦できます。

ついでに今年のアブダブGPの見所をまとめます。

一昨年まで無敵を誇ったメルセデスチームですが、今年は春先からつまずきました。敵がいなくなったレッドブル・フェルスタッペンが今年は圧倒的で、個人・コンストラクターズタイトルを既に決めています。

フェルスタッペンは今年14勝していて、これは既に年間優勝数の新記録です。これがもっと伸びるのか、というのが見どころではあります(まあ、今年のレッドブルは勝ち過ぎで少々興ざめなところもありますが)

それよりもフェルスタッペンの同僚のペレスがフェラーリのルクレールに2ポイント差の3位に迫っているのが面白いかもしれません。ペレスが2位に上がれば、まさにレッドブルの完全優勝となりますが、どうやらフェルスタッペンとペレスは前戦のブラジルGPでは仲違いしていたようです。去年の”ultimate team game”を考えれば、フェルスタッペンがペレスをサポートしても良さそうなものですが…

春先に高速走行時、車がバウンドするという問題を抱えていたメルセデス。一時はドライバーの健康問題にまで発展したのですが、今シーズン終盤で問題は解決、ここにきて猛烈な巻き返しに成功して、前戦ブラジルではなんと1位・2位を独占。この勢いがアブダビでも続くとなると、2023年のF1にも影響しそうです。ブラジル2位で今年は優勝がないハミルトンは、優勝してフェルスタッペンに去年のリベンジを果たしたいはずですが、メルセデスの若手の同僚のラッセルは前戦ブラジルで優勝しています。ハミルトンも世代交代の時期に差し掛かっているのでは、という話もではじめています。

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